第4回両槻会定例会 両槻宮はどこ?

 飛鳥好きの定例会も第4回目の例会を迎えました。二カ月に一度の定例会ですが、あっという間にめぐって来るという実感です。

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 飛鳥京跡の中心部から見上げると、東側にひときわ高く聳える山があります。藤本山と呼ばれていますが、地元の方でも山の名前をご存知の方は少ないのではないかと思われるほど平凡な山の名前です。この山頂に飛鳥を見下ろす万葉展望台があります。
 今回は、この展望台から飛鳥を眺めてみようという企画です。今回の企画には、飛鳥眺望と併せて、次回の講演会のテーマともなる斉明天皇の両槻宮にも思いを馳せてみたいという意図があります。

この山に下から上るのは大変なので、後背の多武峰まで桜井からバスで行き、談山神社から万葉展望台まで緩やかな起伏を辿りながら石舞台まで下りて来るという楽チンのはずのコースを選びました。

参加者は総勢23名。1名の方は連絡もなく欠席となりましたが、あとは全員、時間までに桜井駅の多武峰行きバス乗り場に集合。今回も初めて参加の方が数名いらっしゃいますが、すでに何度か定例会に参加されている馴染みのお顔が揃いました。

談山神社でバスを降り、目の前の談山神社はパスして、早速、万葉展望台をめざします。下りコースのはずがいきなり緩やかながら上り道となり、すぐに暑さが堪えて来ます。雨模様の予報だった天気が回復し、厳しい残暑の中のウォーキングとなりました。

万葉展望台は雨だと視界がイマイチですので、お天気の回復はありがたいのですが、展望台から飛鳥への下り路が、下見のときに取り付き口が見つからないほど夏草に覆われていましたので、その上、雨が重なるとこの下りコースは断念せざるを得ないかもと思われていました。幸い前日に、仕事の都合でこの日の参加ができなかった泉太郎さんが辿ってくれました。夏草が刈り取られ、路もある程度整備されている状況をHPにアップして知らせてくれました。おかげでコースには懸念がなくなりました。しかし…暑いです。

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バス停から車道を少し上ると、談山神社の西門跡に着きます。ここからは、路が三方向に分かれます。車道にかかる橋を渡ると冬野方面に、真下の道を辿ると細川に出る飛鳥ハイキングコースです。われわれは、右の道を緩やかに上り、御破裂山の裾を回ります。この分岐点の西口から、金剛、葛城の山並みが眺望でき、しばし暑さを忘れさせてくれます。

しばらく路を辿ると、やがて緑陰に入り、ほっと一息できます。路の片側に苔むした古い石垣が見えてきます。中世に城砦があったその石垣かもしれませんし、あるいはそれ以前にも、このあたりに両槻宮があったのではと想像が膨らむ雰囲気です。

念誦崛(ネヅキ)という呼称が何となく両槻(フタツキ)が連想させることから、日本書紀に記される多武峰の頂にあったという斉明天皇の両槻宮はこのあたりとする人もいるようです。しかし、ここから飛鳥の都を俯瞰するには、樹木や起伏が眺望を遮るため、少し無理があるような気がします。宮には観が設けられていたようですが、よほど高いものでなければ無理だと思われます。
そもそも両槻宮が何のための施設かにもよるでしょうが、城砦にしろ離宮にしろ、飛鳥眺望が望めない位置ではなかったような気がします。しかし、宮が作られた当時、東アジアの国際情勢が緊張していましたから、万一外敵に都を襲われた非常時に逃げ込む場所とすれば、むしろ眼下の飛鳥から宮が見えない方が良かったのかとも思えるのですが、どうでしょうね。

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この念誦崛には天台の高僧増賀上人の墓があります。増賀上人は奇行の人として徒然草にも記されているお坊さんで、世俗の名利や権勢に背を向けるところがあったのでしょうね。墓は石をドーム上に積み上げた特異なもので、即身成仏を遂げたと伝えられています。
墓の周囲は夥しい墓石や石仏が深い樹林と夏草の中に埋もれ、昼でも不気味さが漂う区域です。明治の初めまでここに上人の霊堂紫蓋寺がありました。今でもその石垣と思われるものが残っています。その石垣や石仏もひょっとすると両槻宮の石垣を再利用していたのかもしれません。

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コースをさらに辿ると、高家(たいえ)に下る分岐点に役行者像が見えてきます。行者像の右手に下り路が見えますが、ひとりではとても下る勇気がないほどの杣路です。道なき道が好きで、かってこの路を下ったことのある風人さんでも、あまりお奨めではありませんでした。この役行者像は上の行者像と呼ばれ、下の高家集落には下の行者像があります。上の行者像は柔らかに微笑みを湛えていました。

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談山神社からおよそ3キロで、今回の目的地である藤本山の万葉展望台に到着しました。今日は天気もよく、展望台に立つと、眼下の飛鳥古京、大和三山が見事なパノラマとなって広がっています。金剛、葛城、二上、信貴、生駒の山並みまでが一望でき、左手には午後から訪ねる稲淵の棚田や案山子ロードが見渡せます。

この展望台に立つのは初めての方が多く、参加された方は一様に素晴らしい眺望に満足されたと思います。ただ、暑かったです。日陰があまりなく、汗を拭きながらここで昼食を摂ることになりました。

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この眺望を見ていると、両槻宮がこの場所にあったとしても不思議ではない実感が湧いてきます。飛鳥の都に外敵が攻め入って来たとしても、ここからなら、侵略者の行軍まで肉眼で捉えることが出来そうです。難波から竹之内峠、穴虫峠を越えてくる軍影も奈良坂から攻め入る軍影も見渡せそうですし、危機が迫れば、後背の伊勢、吉野へと逃れることが可能な位置にあります。風人さんの解説に熱が入ります。両槻宮がこことする確かな根拠はありませんが、宮の用途がいかなるものであったとしても、捨てがたい立地です。

両槻宮がどこにあったかについては、近時の発掘結果から酒船石のある丘陵付近ではなかったかとする推論もあるようですが、日本書紀に記された多武峰の頂とするには、あまりにも近すぎる気がします。両槻宮が天宮(あまつみや)とも呼ばれたという記述から、相当な高度にあったのでは思わせます。日本書紀にいう「宮の東の山」に何らかの施設があったとしても、両槻宮とは別個のものとして書き分けられているような気がします。

次回の定例会では、「飛鳥の防衛システム構想(倭京の“守り)」をまとめられた明日香村教育委員会の相原先生に、発掘成果から導き出された構想とその構想にも関わる両槻宮をめぐる諸問題について講演をいただける予定になっています。今回の飛鳥展望散歩はその前振りとしての企画でもありますから、今回参加された方は次回の講演はぜひ注目していただきたいと思います。

さて、飛鳥を展望しながらの昼食を終えたところで、いよいよ眼下の石舞台をめざして下ります。
この楽チンコースのはずの下りが、結構みなさんお疲れになったようです。この時期にしては異常な残暑の中、足元に気を取られながら下りる山道は、慣れていない方にとっては少しきつかったかもしれません。アスファルト舗装の路に出たあたりで小休憩となりましたが、どっと疲れが表れたご様子の方も。その後の下りが舗装道だけに関節に疲労がたまったようでした。それでも、みなさん元気よく無事に石舞台までたどり着きました。

石舞台を見下ろす木陰でしばし休憩を取り、この機会に参加者のみなさんの自己紹介。すでに何度か参加されている方もいらっしゃいますが、今回初めての参加者もあり、歩いている間にお話できる人は限られますので、短い時間でも自己紹介の機会はやはり必要です。中には地元明日香村から参加された方、飛鳥の景観ボランティアをされている方、遠く静岡から参加された方もあり、この例会を通じてまたいろんな方との出会いとなりました。お疲れの方、お時間の都合のある方とは、ここでお別れしました。

休憩の後は、展望台から眺めた棚田の案山子ロードをめぐります。案山子ロードに入るあたりで俄か雨となり、勧請橋の下でしばし雨宿り。雨は直ぐに上がり、暑さに火照った体には救いの雨です。
来週は彼岸花祭りで、この案山子ロードに設置された力作案山子の人気投票も行われます。毎年テーマを決めて多くの案山子が秋の棚田を彩ります。今年のテーマは「元気」、たくさんの元気案山子が実り始めた棚田ロードで出迎えてくれました。

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案山子ロードの中ほどにはシンボルとなるジャンボ案山子が、これもテーマに併せて毎年、新設置されています。このジャンボ案山子の足元の棚田に、絶滅危惧種とされる稀少植物の「ミズアオイ」が植えられ、今年も元気に爽やかなブルーの花を咲かせていました。飛鳥川のほとりなどで実験的に栽培されていましたが、ようやく定位置が決まったようです。

またこのジャンボ案山子の前には棚田作業のために棚田ハウスが設置されています。案山子祭りのころには棚田オーナーの方も出て、訪れる人のために飲み物などの提供も行われています。今回参加者の方のお一人が、この週末にはお手伝いをされるとお聞きしました。

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案山子ロードから朝風峠を抜けると飛鳥駅への下り道となるため、地元の方や棚田オーナーの方とはここでお別れし、後のメンバーは実り始めた棚田を俯瞰しながら祝戸を抜けて再び石舞台公園に戻りました。

本日の定例会はここでおしまい。皆さんとお疲れ様の挨拶を交わし、またの再会を期待してお別れしました。

予想外に残暑厳しい中のウォーキングとなりましたが、終わってみると疲れも忘れる楽しい一日でした。ご一緒くださった皆さん、お疲れ様でした。そして、ご参加ありがとうございました。






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この記事へのコメント

Delmar
2018年06月30日 14:50
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